相続に必要な手続き⑥~相続税の申告・納付

相続に必要な手続き⑥~相続税の申告・納付

誰かが亡くなった後に行う手続きを「相続手続き」と言います。
この相続手続きを自分が主体となって行うのは、ほとんどの人の場合、そう何度もあることではありません。
そのため、いざ相続手続きが必要になった場合に戸惑ったり、困ってしまうことは普通のことなのです。

「相続手続き」に着目した場合の、必要な主な手続きと大まかな流れは以下の通りです。
各段階の詳しい説明は、それぞれ解説記事を作成しておりますので、ご参照ください。

この記事では、「相続税の申告・納付」について説明します。


そもそも、相続税って?

相続が発生した時、「遺産を相続すると税金がかかるのでは?」と心配される方は多いです。
亡くなった方の遺産を相続した際にかかる税金が「相続税」です。

誰かが亡くなった時、相続財産はどんなものがあるのかを調べることになります。その相続財産の合計価額によっては、相続税を支払う必要が出てきます。そのため、相続財産の調査は非常に重要です。相続財産をきちんと調べられないと、相続税を支払う必要があるのか無いのかといった判断が出来ないからです。

相続税については、専門家でないと正しく判断するのが難しいことがあります。相続税について悩んだ時の相談先は税理士になります。

行政書士は、相続税についての相談を受けることは出来ません。
なぜならば、税金の申告や、税務相談は税理士の独占業務であり、税理士以外がそのような業務を行ってしまうと違法行為となってしまうからです。これは、有償無償を問いませんので、例え無料であっても税務相談等を行政書士が受けることはできません。
行政書士が相続手続きを受任した場合、相続税に関しては依頼人本人もしくは税理士に手続きをお願いすることになります。多くの場合は、その行政書士の提携税理士を紹介し、手続きをすすめていきます。


相続税が課税されるのはどんな時?

相続をすると、誰もが相続税を払わなくてはならない訳ではありません。相続税は、一定額以上の遺産を残して亡くなった方にだけ課税される税金です。

その一定額のことを「基礎控除額」と呼びます。
基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」という式で求めることが出来ます。

例えば、亡くなった方の法定相続人が2人だった場合は、3000万円+600万円×2=4200万円が基礎控除額となるので、遺産が4200万円以下であれば相続税は一切かからず、申告も不要です。

遺産の額が基礎控除額以下で、相続税の対象となる人は非常に多いです。
令和元年の統計では、実際に相続税がかかったのは全体の8.3%でした。


亡くなった方の配偶者はさらに特例がある!

相続税の基本的な考え方は以上の通りですが、亡くなった方の配偶者についてはさらに特例が定められています。

配偶者が相続によって財産を取得した場合は、「配偶者の税額軽減」という特例によって「1億6000万円」か「配偶者の法定相続分」のいずれか大きい金額までであれば相続税はかかりません。
配偶者の法定相続分がどの程度であるかは、他に誰が法定相続人になるかによって変わります。

この特例がある理由は、主に3つあります。
それは、亡くなった方の配偶者の老後の生活を保障する必要があること、その財産を築き上げるには配偶者も少なからず貢献しているということ、配偶者の相続までの期間が短いと考えられることです。

この特例を利用すれば、財産が1億6000万円以下の方の場合、配偶者に全額相続させれば相続税はかかりません。しかし、もしも配偶者が全額相続してしまうと、配偶者が亡くなった際(二次相続)の相続税が非常に高額になってしまうので、一次相続・二次相続をトータルで見ると逆に負担が大きくなってしまう可能性があります。

この他、未成年者控除や障害者控除などもあるので、相続税がかかりそうな時は払う必要のない税金を支払ってしまわないように、きちんと調べた方が良いです。


相続税には申告期限がある!

相続税がかかる場合、申告・納税をしなくてはなりません。税の納付には期限があり、相続の開始があったことを知った日(通常は、被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内と定められています。

もしも納付期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税を支払わなければならなくなります。

相続人全員がそれぞれが支払うべき税金を期限内に納付しなくてはなりませんが、もしも相続人のうち一人でも支払いをしない人がいると、他の相続人が代わりに支払わなくてはならなくなります。これを「連帯納付義務」と言います。

そのため、相続人全員が期限内に必ず納付できるよう、相続人同士で納税方法や納税額を確認しておくと良いでしょう。


「相続税対策」とか「節税」ってよく耳にするけれど…

必要な税金とは言え、払わなくてよいのならば払いたくない、払わなければならないのであればなるべく少額にしたいというのが本音かと思います。

相続税対策として、生前贈与、不動産、養子縁組、生命保険加入など様々な方法があります。巷には、これらの方法を紹介する本もたくさんありますし、インターネットで検索すると多くのウェブページがヒットします。

確かに、正しい知識を身につけ、しかるべき方法をとれば、納税額を抑えることが出来るかもしれません。
しかし制度が複雑で、対策方法を誤ると逆に不利になってしまうこともあります。
不安な時や、自信が無い時は税理士等の専門家に相談しましょう。

相続手続きについてのお問合せは、当事務所へどうぞ!
お客様一人一人に寄り添った対応を心がけています。

北野早紀行政書士事務所
行政書士 北野早紀
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