外国人に日本で研修を受けさせたい→どの在留資格が必要か解説!
グローバル化に伴い、海外の関連会社などから外国人を日本の会社に呼び、研修をさせたいというニーズは多いです。そのような場合、どのような在留資格(ビザ)が必要なのでしょうか?この記事では、研修を受ける外国人が取得すべきビザについて解説します。
外国人に日本で研修を受けさせたい!
外国の企業に勤めている従業員を、日本の企業に呼び、研修を受けさせるということはよくあります。例えば、次のようなケースです。
・海外の子会社の社員に、日本の研修を受けさせたい!
・グループ会社の社員を、勉強の為に日本の展示会に招待したい!
このような場合、日本でどのようなことをするのか?どのくらいの期間日本にいるのか?受け入れ先の日本企業と外国企業との関係はどのようなものか?など、条件によって必要な在留資格が異なってきます。
ここからは、取得可能性がある在留資格(ビザ)と、その特徴について紹介します。
検討① 短期滞在ビザ(商用)
まず考えられるのは、「短期滞在ビザ」の取得です。
短期滞在ビザとは?
短期滞在ビザとは、最長90日間の短期間日本に滞在することを目的としたビザです。商用、親族訪問、観光など、目的によって必要書類が変わってきます。
短期滞在ビザは一度限り有効なものと、複数回有効なものがあります。
2023年6月現在、日本は69の国・地域に対して短期滞在のビザを免除しています。つまり、この69の国・地域に当てはまるならば、短期滞在ビザを取得する必要はありません。(一部の国・地域はビザ免除で在留できる期間が14日、15日、30日のため、それらの国は90日以内の滞在であったとしてもビザ取得が必要な場合があります。)
企業の研修が目的であれば、商用の短期滞在ビザを取得する必要があります。「短期商用ビザ」と呼ばれることが多い為、この記事でも以下短期商用ビザと記載します。
短期商用ビザで日本にいられる期間
短期滞在ビザで許可される在留期間は、15日、30日、90日間の3パターンです。最長で90日間日本に在留することが出来ますが、15日よりも30日、30日よりも90日の方が審査が厳しく、取得難易度があがります。
短期商用ビザで出来ること・出来ないこと
短期商用ビザで日本に滞在中、ビジネスに関することなら何でも出来るわけではありません。まず、「報酬を受ける活動」を行うことは出来ません。これは、報酬を支払うのが外国の企業であっても、日本の企業であっても関係ありません。また、報酬額の大小も関係ありません。つまり、研修を受けることへの対価としては、例え少額であっても報酬を支払うことは許されません。
短期商用ビザで認められる活動としては、例えば施設の見学・視察、企業で実施する講習会や説明会、講演会への参加、会議への参加、商談、市場調査などがあります。
あくまでも、「外国に職業活動の基盤を有することを前提」として行われる必要があります。
★短期商用ビザについてはこちらの記事もご覧ください
90日以内の滞在の場合~短期滞在ビザについて解説!
検討② 企業内転勤ビザ
次に考えられるのは、企業内転勤ビザです。
企業内転勤ビザとは?
企業内転勤ビザとは、一定の関係性がある企業間で社員が異動する時に取得するビザです。
このビザを取得する場合、まずは外国企業と日本の受け入れ先企業の関係を確認する必要があります。親子会社であるとか、出資関係があるといった条件をクリアできれば、企業内転勤ビザを取得できる可能性があります。企業内という名前がついていますが、必ずしも同じ企業間の異動でなくても構いません。
このビザを取得する場合、受け入れ先企業は外国人と雇用関係になります。この点は、短期滞在ビザと大きく違うところです。さらに、日本での活動に対して報酬が支払われることも、短期滞在ビザと異なる点です。この報酬を支払うのは、外国の企業であっても日本の企業であってもどちらでも大丈夫です。
企業内転勤ビザで日本にいられる期間
企業内転勤ビザは中長期滞在を目的としたものであり、日本で一定期間働くことを前提としています。しかし、技術・人文知識・国際業務などの他の就労系ビザとは違い、更新をすればずっと日本にいられるという訳ではなく、長くても数年程度の期間に限定されています。一定の期間を決め、その期間が終わったら外国企業へ戻るという条件のもと、企業内転勤ビザを取得することとなります。
企業内転勤ビザで出来ること、出来ないこと
企業内転勤ビザで認められていることは、「技術・人文知識・国際業務」ビザで認められる業務内容です。つまり、専門的な技術や知識が必要な、ホワイトカラーの仕事という事になります。単純作業や現場仕事をすることは出来ません。会社の経営や管理についても、「技術・人文知識・国際業務」ではなく「経営・管理」ビザに該当するので企業内転勤ビザでは認められません。
★企業内転勤ビザについてはこちらの記事もご覧ください
転勤や出向で外国人が日本に来る場合~企業内転勤ビザについて解説!
検討③ 研修ビザ
研修ビザとは?
研修ビザとは、日本で研修を受け、そこで得た知識を本国へ持ち帰ることを目的とした在留資格です。技能実習生とは違いますので、ご注意ください。
研修ビザで日本にいられる期間
研修ビザで認められる在留期間は1年間、6か月間、3か月間のいずれかです。申請時には、希望する在留期間の間、どのような研修を行うのかを書いた「研修実施予定表」を提出する必要があります。
研修ビザで出来ること、出来ないこと
研修ビザでは、実務を伴う研修を行うことが出来ません。研修の中でも、座学で行うものでないと認められないのです。また、反復作業で修得出来るような技能修得を目的とした研修も認められません。
あくまでも「研修生」であり、「労働者」ではないので、当然受け入れ先との雇用関係もありません。しかし、生活実費程度の研修手当をだすことは出来ます。
ただし、以上は一般企業で研修ビザを取得しようとした場合であって、実は、公共機関等で研修ビザを取得して外国人を呼ぼうとした場合は、実務研修も行うことが出来ます。この場合であっても、外国人は「研修生」であり、「労働者」ではありません。
検討④ 技能実習ビザ
技能実習生という言葉になじみがある方も多いかと思います。もしかしたら、研修と聞くと真っ先に「技能実習ビザ」を思い浮かべる方もいるかもしれません。
技能実習ビザとは?
技能実習ビザは、日本の技能・技術・知識を開発途上国などに移転することを目的としている在留資格です。
本来、技能実習ビザは技術移転や国際協力が目的なので、人手不足解消のために技能実習生を雇用してはいけません。労働力不足の解消を目的としては、「特定技能」という在留資格があります。よく混同されがちですが、全く異なるものです。
技能実習ビザの制度は非常に複雑で、細かいルールがたくさんあります。
この記事では詳細については触れず、「研修」目的で取得可能性のある他のビザとの比較に留めることとします。
技能実習ビザで日本にいられる期間
技能実習ビザは1号~3号に分かれます。
最初の来日時は技能実習生1号となり、在留期間は最長1年間です。2号は2年以内、3号は2年以内ですので、技能実習生としては最長で計5年間日本にいられることになります。
技能実習ビザで出来ること、出来ないこと
技能実習生を受け入れることが出来る職種や作業は、法律で決められています。そして、技能実習生を受け入れる場合は、受け入れ時に策定した技能実習計画に沿った活動を行わなくてはなりません。
どれが一番適しているか、比較して検討しましょう!
「研修」の中身や、送り出し企業と受け入れ企業の関係性、どの位の期間日本にいる必要があるのか、といったことによって、取得すべき在留資格が変わってきます。
それぞれの条件を確認し、どの在留資格が適しているのか検討しましょう。
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北野早紀行政書士事務所
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