不動産を相続する人必見!相続登記の義務化とは?

不動産を相続する人必見!相続登記の義務化とは?

誰かが亡くなって相続が発生した際に、不動産を持っていた場合は名義変更を行わなくてはなりません。これを、相続登記と言います。今までは、相続登記をしなくても特に罰則がなかったため、そのままにしている人も多くいました。

しかし、相続登記をしないで放置することにより、様々な問題が発生しています。そのため、相続登記は義務化されることが決定しました。
この記事では、相続登記の義務化の背景や、相続登記のルールがどう変わるのかについて解説します。


相続登記とは?

相続登記とは、亡くなった方が所有していた不動産に関する所有権や権利関係を、相続人に引き継ぐための手続きです。
所有権などの不動産に関する権利は、法務局で登記をすることによって公的な帳簿「登記簿」に記載されます。登記簿に記載された内容は誰でも見ることが出来、不動産の取引の際などに重要な役割を担います。

不動産の所有者が亡くなった場合、その人が持っていた権利は相続人に引き継がれますので、登記簿の名義も書き換えなくてはなりません。この手続きのことを「相続による所有権登記」といい、これを一般的に「相続登記」と呼ぶのです。

不動産の相続が発生したら、すぐに相続登記が行われるのが望ましいのですが、実際はそうではない場合が多く、問題となっています。
例えば、実家に住んでいた両親が亡くなり、もう誰も住まなくなってしまった場合。子どもたちはみなそれぞれ家庭をもっていて、実家の土地と建物を引き継ぐ必要がないことも多いです。むしろ、税金や管理の事を考えると引き継ぎたくないという人も少なくないでしょう。
あるいは、親戚関係と疎遠になっている方が亡くなった場合。相続人が誰であるのか良く分からなかったり、相続人がもしいたとしても、遠い親戚だったり音信不通状態だったりすると、誰かが不動産を引き継ぐことは難しいです。
資産価値の高い不動産であれば話は違ってくるかもしれませんが、実際にそこに住む人以外にとっては引き継ぐメリットがないケースがほとんどです。

こういった理由から、持ち主が亡くなってから相続登記が行われず、名義が亡くなった方のままで放置されている不動産が全国各地にたくさんあるのです。


相続登記をしないとどんな問題が起こる?

不動産が相続登記されずに放置されると、様々な問題が生じます。ここでは代表的なものを3つ紹介します。

問題①

権利関係が複雑になり、簡単に処分できなくなる!

相続登記をせずにそのままにしているうちに、相続人が亡くなってしまうと、今度はその「相続人の相続人」が不動産の所有権を引き継ぐこととなります。放置している期間が長ければ長いほど、相続権を持つ人がどんどん増えて権利関係が複雑化していきます。

そのうちの一人が、どこかのタイミングで不動産を処分しようとしても、その人一人だけでは処分することが出来ません。その時点で相続権を持つ人全員を特定し、全員に了解を得てからでないと手続きが出来ないのです。最初の相続から何世代も経過してしまっていると、相続人が100人以上になってしまうこともあります。こうなってしまっては、例え専門家に手続きを依頼したとしても簡単には終わりません。
このように、早めに相続登記をしなかったために、余計な時間と手間とお金がかかってしまうことがあるのです。

問題②

放置された不動産が荒れて、ご近所迷惑になる!

相続登記を放置しているケースでは、不動産の管理も行わずに放置されていることが多いです。
土地も家も、手入れをしないとあっという間に荒れてしまいます。害虫や害獣の住処になったり、雑草や樹木が生えて隣地や道路まで飛び出してしまったりします。建物を適切に管理しないと、柱や屋根が腐ってしまうこともあります。そういった場合は、地震などの災害の際に崩壊する可能性もあり危険です。

文句を言いたくても、登記簿上の名義変更がされていないので誰に言えばよいのか分かりません。
このように、相続登記が放置されることにより、安全上、衛生上の問題が生じて、地域住民にとって非常に深刻な問題となる可能性があります。

問題③

道路の拡張や土地開発など、他の事に使おうとした時に妨げとなる!

公共工事で道路の幅を広くする場合や、土地を開発する場合などにも問題となることがあります。工事予定地域に名義変更されていない土地が含まれていた場合、現在の所有者を特定してその人の承諾を得ないと工事を行うことが出来ません。
その一画だけが所有者が見つからないばかりに、全体の進行がストップしてしまうと、地域は非常に不利益を被ります。


こういった様々な問題が全国で起こっているにも関わらず、相続登記されずに放置される不動産はどんどん増えています。理由として、これまでは相続登記は任意であり、しないからといって特に罰則がなかったことが大きいと考えられます。

しかし、問題の深刻化が進み、ついに令和3年に法律が改正され、令和6年4月1日から相続登記の申請を義務化することが決定しました。


「相続登記の義務化」とは?何をすれば良い?

では、相続登記の義務化の具体的な内容をみていきましょう。

まず、基本的なルールとして、「相続人は不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をすること」が義務となりました。ひとつ注意が必要なのは、「被相続人が亡くなったことを知った日から」ではなく、「不動産を取得したことを知った日から」3年の期間がスタートするということです。自分が相続人だという事は知っていたけれど、不動産を持っていたことは知らなかった、というような場合が当てはまります。

また、遺産分割の話し合いをした場合は、別のルールがあります。遺産分割の結果、不動産を引き継ぐこととなった相続人は、「遺産分割が成立した日から」3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請しなくてはなりません。

もしも、正当な理由がないのに期限内に相続登記をしなかった場合10万円以下の過料が科される可能性があります。


過去の相続に関する登記も義務化されるの?

相続登記の義務化の施行日は令和6年4月1日ですが、すでに発生している相続についてはどう扱われるのでしょうか。

施行日以前に発生した相続についても、遡って新しいルールが適応されます。つまり、例え何世代も遡った先祖が所有していた不動産であっても、相続登記は義務であり、やらなくてはならないのです。

ただ、過去に遡って手続きをするケースでは、不動産を相続したことを知った日から既に3年経過している場合もあると思います。その場合は施行日から3年以内に申請をすれば良いこととなっています。

過去の相続については、「施行日(令和6年4月1日)」または「不動産を相続したことを知った時」のいずれか遅い日から3年以内に申請をしなくてはならない定められたからです。つまり、過去の相続に関しては遅くとも令和9年3月31日までに手続きをしなくてはならないということです。過去の相続であっても、施行日以降に発生した相続同様、期限内に手続きが終わらなければ10万円以下の過料を課される可能性があります。


期限内に遺産分割の話し合いが終わらない…そんな時は?

相続人同士で揉めてしまって、どうしても期限内に話がまとまらない。相続人の中に行方不明の人がいて進まない。過去の相続について、何世代分もの相続を整理しなくてはならなくて、時間がかかる。
様々な理由から、どうしても期限内に遺産分割が出来ないということもあるでしょう。その場合、10万円の過料を払うしかないのでしょうか?

そんな時は、「相続人申告登記」をするという方法があります。
相続人申告登記とは、遺産分割の話し合いが終わる前であっても、「不動産の登記簿上の所有者が亡くなったこと=相続が発生したこと」と「自分がその相続人であること」を相続人自ら申し出ることで、相続登記義務を履行したとみなされる制度です。相続人申告登記をすると、申し出をした相続人の氏名と住所が登記簿上に記載されます。

しかし、相続によって権利を取得したことまでは記載されません。相続人申告登記と相続登記は全く異なるものだということは理解しておきましょう。

この手続きにより、10万円以下の過料は免れることとなりますが、相続人申告登記は相続人1人ずつ手続きが必要です。誰かが一人手続きをすれば、自動的に全ての相続人について手続きが行われるわけではありませんので、注意しましょう。
一人の相続人が、相続人全員分をまとめて申出することは可能ですので、誰かが代表者となって手続きをすることは可能です。


いらない土地を相続した時も、登記が必要?

不動産を相続することを望む人ばかりではなく、なかには「仕方がなく」相続する人もいます。
例えば、実家を出た後家庭を築き、戸建ての家を建てて暮らしている人で、両親が亡くなって実家が空き家状態になった場合などです。このパターンでは、実家を手に入れたとしても管理の手間と費用がかかるので出来れば相続したくない…と考える人も少なくありません。

その不動産を望んで相続するかや、不動産の市場価値があるかどうかということは相続登記には関係ありません。そのため、どのような事情があったとしても相続したからには相続登記を行わなくてはなりません。

ただし、土地に関しては「相続土地国庫帰属制度」という制度が新たに出来ました。要件をクリアできれば、相続した不要な土地を国庫に帰属させることが出来ます。
土地を相続した場合には、こちらの制度の利用も検討してみると良いでしょう。

 ★相続土地国庫帰属制度についてはこちらの記事をご覧ください。
「相続土地国庫帰属制度」とは?いらない土地を相続した時!


早めの対応を心がけましょう!

相続登記に期間と過料が設けられたことによって、焦って調べている方もいるかもしれません。3年間の猶予があると知って、「なんだ、まだまだ大丈夫じゃないか」と思った人もいるかもしれません。しかし、特に過去の相続については、予想しているよりもずっと時間と手間がかかってしまうと考えていた方が良いです。時間がたてばたつほど複雑になります。時間と心に余裕をもって対応するようにしましょう。

相続登記の手続きは、法務局で行います。分からないことは法務局で相談することも出来ますが、事前に予約をとってから行くようにしましょう。また、専門家に手続きを依頼する場合は司法書士に依頼してください。司法書士以外が依頼を受けて登記の手続きをすることは法律で禁止されています。

当事務所では司法書士などの他の専門家と連携して相続業務に対応しております。
あっちこっちの専門家を自分で探して、別々に相談するといった手間は必要はございません。

まずはお気軽にご相談ください。

相続手続きについてのお問合せは、当事務所へどうぞ!
お客様一人一人に寄り添った対応を心がけています。

北野早紀行政書士事務所
行政書士 北野早紀
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