留学生の進路は?~人文系専門学校の場合

留学生の進路は?~人文系専門学校の場合

日本には多くの外国人が留学生として在留しています。留学が目的の場合、在留資格は「留学」になります。
では、学校を卒業して、それぞれの進路に進んだ時、在留資格に関する手続きはどのようなことが必要なのでしょうか?
また、進路によってどのような在留資格が必要になるのでしょうか?
ここでは、日本の人文系専門学校を卒業して専門士の称号を取得した場合の進路と、対応する在留資格について解説していきます。


専門学校を留学したあと、どんな選択肢がある?

留学生が専門学校を卒業した後、どのような進路が考えられるでしょうか?
まず、就職活動をして、一般企業へ就職することが考えられます。また、企業などに雇用されるのではなく、フリーランスとして働くという選択肢もあります。
さらに、卒業後すぐに起業して、経営者になりたいと考える人もいるかもしれません。
あるいは、さらに知識を深めようと、他の教育機関へ進学するという選択肢もあるでしょう。
就職活動が卒業までに終わらず、卒業後も就職活動を続けたいと考える人もいると思います。

日本では、外国人が日本でどのような活動をするかによって必要な在留資格を取得しなければなりません。留学生という立場で日本にいる人ならば、在留資格は「留学」です。学校を卒業してしまうと、もう留学生ではなくなるわけですから、卒業後の活動内容に合わせて在留資格の変更手続きをとらなければなりません。
ここからは、卒業後の進路選択について一つずつ取り上げ、具体的にどのような在留資格が当てはまるのか、取得するためのポイントは何かを解説していきます。


企業に就職する場合

必要な在留資格とは?

専門学校を卒業後、一般企業に就職をする場合、ほとんどの人は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が必要となります。
就労ビザの中で最もポピュラーと言っても良い、幅広い業務が含まれる在留資格です。
実は、就職などのための在留資格変更が許可された留学生のうち、変更後の在留資格が「技人国」だった人の割合は88.5%にものぼります。(令和2年統計)
つまり、留学生が就職を考えた時は、まず技人国ビザの取得を念頭に置いた就職活動が必要となるのです。

技人国ビザで出来る仕事とは?

技人国ビザの該当する活動とは、以下の通りです。

「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動」

技人国ビザで許可される活動は「技術」「人文知識」「国際業務」の3つのカテゴリーに分かれます。それぞれ、許可の要件(学歴要件や実務要件など)が異なるので、就職後の業務がどのカテゴリーに該当するのかは重要です。

日本の人文系専門学校を卒業した留学生の場合、申請可能性があるのは人文知識カテゴリーの業務になります。
人文知識に該当する活動とは、「人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務」です。つまり、凄く簡単に言ってしまうと「一定以上の知識やスキルが必要な、単純労働ではない人文系の業務」となります。

業務と専攻科目との関連性

これからやろうとする仕事の内容と、学校での専攻科目の関連性は審査に影響するでしょうか?
結論から言ってしまうと、学校で学んだ内容と仕事の内容の関連性も審査の対象です。ただ、大学や短大などを卒業した場合と、専門学校を卒業した場合で扱いが異なります。

大学や短大等を卒業した場合は、業務内容と専攻科目の関連性については厳しく見られません。しかし、専門学校卒(専門士、高度専門士)の場合は、従事する業務内容と学校での専攻科目が密接に結びついてないといけないのです。

その為、例え同じ人文系の業務であっても、自分が学んでいる内容とかけ離れた仕事をすることは出来ない、ということになります。

就職活動前に正しい知識を!

就職活動の結果、無事に内定をもらい一安心、と思ったら、在留資格変更の段階になって要件を満たさないことが分かった!ということが起こってしまったら大変です。
また、企業側が知識不足で、本来してはいけない業務に従事させてしまったら、違法行為となってしまいます。
就職活動をする前に正しい知識を身に着け、しっかり準備をしましょう。

★技人国ビザについて、詳しくはこちらをご覧ください
就労ビザの代表格~技術・人文知識・国際業務ビザについて解説!


フリーランスで働く場合

必要な在留資格とは? 

卒業後、フリーランスで働くという場合に必要な在留資格は「技術・人文知識・国際業務」です。
企業に雇用される訳ではないのに技人国でいいの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、技人国に該当する活動を定義する時の「本邦の公私の機関との契約に基づいて」という文言の「契約」には、雇用契約のほか、委託契約なども含まれるとされているのです。
つまり、フリーランスとして、特定の機関(取引先)と業務委託契約を結んでいれば、技人国の在留資格を取得できる可能性があるのです。

フリーランスとして技人国ビザを申請する際のポイント

フリーランスであっても技人国ビザを申請出来るとはいえ、安定性や継続性の観点から、企業に雇用される場合に比べるとビザ取得難易度は上がります。

申請する際のポイントは以下の通りです。

  • 業務委託契約書は、ある程度の報酬を保証する内容とする
  • 委託期間は短期間(2~3か月など)ではなく、なるべく長期にする
  • 法人などではなく、個人客しかいない場合は該当しない

留学生が卒業後にすぐフリーランスとして仕事をしたいと思ったとしても、ほとんどの人が実務経験や実績がない状態からスタートすると思います。
実務経験や実績がない人が、いきなり企業との業務委託契約を結ぶことが出来るのか?ということがまず大きな壁としてあります。そして、仮に契約を結ぶことに成功したとしても、本当に安定して収入を得る見込みがあるのか?という点は厳しく審査されます。
以上のような理由から、留学生が卒業後にすぐフリーランスとして独立することは、理論上不可能ではありませんが、非常に難しいと考えましょう。


起業して経営者になる場合

必要な在留資格とは?

卒業後にすぐ起業する場合に取得しなくてはならない在留資格は「経営・管理」です。
卒業したらすぐ起業することは可能なのか?と疑問に思う方もいるかと思いますが、要件を満たせば不可能ではありません。

しかし、審査は非常に厳しく行われますので、「とりあえず起業」ではなく、「日本でビジネスを成功させるぞ」という強い気持ちが必要です。勿論、名ばかり経営者ではなく、実質的に経営者として活動しなくてはなりません。

留学生が起業する時のポイント① 

経営・管理ビザの許可要件は色々とありますが、留学生が特に気を付けなくてはならないことがあります。まず1つ目は、資本金の準備についてです。

経営・管理ビザを取得しようと思ったら、日本在住の常勤職員を2人以上雇用するか、500万円以上出資する必要があります。
実際は、起業当初から2人以上の正社員を雇うことは難しいので、ほとんどの人が500万円以上の出資金を負担して起業します。

留学生の場合は、この500万円の出所が非常に重要なのです。
入管は、「留学生なのになぜ500万円も用意できるのか?」という点について非常に厳しく審査します。例え、親から援助してもらったのだとしても、その証拠やお金の流れをチェックされるのです。

元留学生の場合は、単純に500万円用意して登記すれば良いという訳ではなく、その出所についてきちんと説明できなくてはならないということをおさえておきましょう。

留学生が起業する時のポイント②

留学生が卒業後すぐに起業する時の2つ目のポイントは、企業の安定性と継続性についてです。

留学生はほとんどの場合、経営や管理の経験がないので、起業した後の経営の安定性や継続性を疑われます。この疑念を払しょくする為には、しっかりとした事業計画書を作成し、起業時の経営体制やビジネスモデル、これからの収支見積もり等を細かく説明しなくてはなりません。事業計画書に盛り込む内容は多岐にわたりますし、ボリュームもあるので、作成にはそれ相応の手間と時間がかかります。留学生にとって、事業計画書を日本語で作成するのは大変かと思いますが、事業計画書次第で許可・不許可の判断が大きく左右されるので、手を抜かずしっかりと作成することをお勧めします。

★経営・管理ビザについて、詳しくはこちらをご覧ください
外国人が日本で起業する場合~経営・管理ビザについて解説!


他の教育機関へ進学した場合

必要な在留資格とは?

専門学校を卒業した後、大学や短期大学などの他の教育機関へ進学したい場合はどうしたらよいでしょうか。
専門学校生の間、「留学」の在留資格で在留していた方がほとんどだと思います。他の教育機関へ進学したとしても、学生として勉強をする為に在留するという事で必要な在留資格は「留学」で変わりません。
つまり、在留資格の変更は必要ないのです。

「留学」→「留学」ということは何もしなくていいのか?

学校が変わるだけで在留資格が変わらない場合であっても、やらなくてはならない手続きがあります。
それは、「活動機関に関する届出」です。出入国在留管理局に通学する学校が変わった旨を届け出る必要があるのです。
これは、入学してから、もしくは学校が変わってから14日以内に届出をしなくてはならないという決まりがありますので、新しい学校に入学したら速やかに手続きするようにしましょう。


就職活動を続ける場合

必要な在留資格とは?

卒業後も、正当な理由もなく留学ビザのままで3か月以上在留していると、ビザを取り消されてしまう可能性があります。
では、卒業後、就職先が決まらなかったら、帰国しなくてはならないのでしょうか?

このような場合、「就職活動をするための特定活動ビザ」へ変更をすれば、帰国することなく就職活動を続けることが出来ます。

就職活動をするための特定活動ビザのポイント

ここでは、専門士の称号を取得した人(継続就職活動専門学校生)の場合のポイントを簡単に説明します。専門士の称号がなくてはならないので、必ず学校を卒業していなくてはなりません。学校を中退した場合は該当しませんので、ご注意ください。

まずは、専門学校で学んだ内容が技人国等の在留資格の活動と関連していなくてはなりません。また、就職活動で滞在する間の生活費があることを証明する必要があります。
そして、直前まで在籍していた学校からの推薦状が必ず必要となります。

このビザで日本にいられる期間は6か月です。1回だけ更新することが出来るので、最長1年間は就職活動を続けることが出来ます

就職活動のための特定活動ビザで在留中も、週28時間までのアルバイトは可能です。その為には「留学」で在留中と同様に、資格外活動許可が必要ですので、忘れずに許可をとってください。

就職活動のための特定活動ビザで在留中、就職内定をもらったら…

次に、就職活動が上手くいき、無事に内定をもらえた場合を説明します。

就職活動が終了するわけですから、内定をもらったら就職活動のための特定活動ビザのままではいられません。在留資格を変更する必要があるのです。

就職活動が終了した後の在留資格変更は、2つのパターンがあります。
まず、内定後にすぐ入社できる場合です。この場合は、特定活動 ビザからすぐに技人国(就労ビザ)へ変更すれば問題ありません。
もう1つのパターンは、内定後に入社まで間が空いてしまう場合です。
例えば、3月に卒業して、留学ビザから就職活動のための特定活動ビザ(6か月)へ変更したとします。その後、8月に無事に内定をもらうことが出来たけれど、翌年の4月から入社してね、と言われた場合。この場合は、就職内定後の待機期間中に在留期間が終わってしまいます。
いったん帰国するという選択肢もありますが、そのまま日本に在留したい場合は、一定の要件を満たせば、「就職活動を行うための特定活動ビザ」から「内定待機の為の特定活動ビザ」へ変更することが出来ます。この手続きをきちんととっておけば、入社して就労ビザに切り替えるまで、安心して日本で過ごすことが出来るのです。


必要な手続きは希望する進路によって違います!

外国人留学生が卒業した後の手続きは、どんな進路を希望するかによって異なります。必要な要件・手続きをしっかり調べて、学生のうちから準備をしましょう。

また、アルバイトをしすぎてしまった場合や、授業への出席率が低い場合は、ビザ手続きの際の審査でマイナスとなります。自分が希望する進路へ進むためにも、まずは学生の本分である勉学にしっかりと励みましょう!

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北野早紀行政書士事務所
行政書士 北野早紀
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