相続人の中に認知症の人がいたら!?

相続人の中に認知症の人がいたら!?

相続が発生すると、法定相続人を調べる必要があります。法定相続人の中に高齢者がいて、その方が認知症の場合があります。こういった場合、どのような問題が発生するのでしょうか?
この記事では、相続人の中に認知症の方がいる場合の問題点、気を付けなくてはならないことについて解説します。


そもそも、法定相続人とは?

ある方が亡くなると、その方の遺産を誰がどのように引き継ぐかという事を決めなくてはなりません。この、遺産を受け取る権利を「相続権」といい、相続権を持つ人のことを「相続人」と言います。
そして、誰が相続権を持つかは法律で決められています。法律で定められた相続人なので、相続が発生した時点で当然に相続権を持つひとのことを「法定相続人」と言います。

法定相続人になる人は、亡くなった方の配偶者や子ども、親や兄弟姉妹などですが、これらの人全員が必ず法定相続人になる訳ではなく、順位が決められています。配偶者と子どもが存命の場合、親や兄弟姉妹は法定相続人にはならない、といった具合です。

 ★法定相続人についてはこちらの記事をご覧ください。
 相続手続きの最初の一歩~法定相続人を知ろう!


法定相続人が分かったら…遺産分割協議をしよう!

法定相続人を調査した後は、法定相続人全員で遺産分割協議を行います。(ただし、遺言書がある場合は遺産分割協議は不要です)

遺産分割協議とは、相続財産を誰がどれだけ、どのように相続するかを話し合うことです。話し合いの結果を遺産分割協議書としてまとめ、この協議書を使って金融機関手続きや不動産の相続登記を行うこととなります。

遺産分割協議は、必ず法定相続人「全員」で行わなくてはならないという決まりがあります。何かしらの理由があって参加しない人がいた場合は、遺産分割協議書がつくられたとしても無効となってしまいます。

この、遺産分割協議を行う時に、相続人の中に認知症の方がいる場合は注意が必要なのです。


認知症の相続人がいる遺産分割協議は無効!?

相続人が認知症だった場合、何が問題となるのでしょうか?

認知症の程度によっては、自分が行っていることの良し悪しや意味が正しく理解できない場合があります。そのような状態の人が、遺産分割協議で正しい判断をして、意見することが出来るでしょうか?他の相続人の言うがままの内容に決められてしまったり、自分が不利益を被ることを理解できずに署名してしまう可能性があります。

このような事態を避ける為、例え本人の署名や印鑑がある遺産分割協議書が作成されたとしても、その方が認知症を患っていた場合は遺産分割協議書が無効となる場合があります。

かといって、認知症の相続人を無視して遺産分割協議をする訳にもいきません。既に述べた通り、遺産分割協議は相続人全員で行わなくてはならない決まりがあるからです。
つまり、相続人の中に重い認知症の方がいる場合は、法的に有効な遺産分割協議書を作成すること自体が難しくなってしまうのです。


相続手続を進めるためにはどうしたら良い?

相続人の中に重い認知症の人がいる、重い認知症の相続人は自分で遺産分割協議に参加できない、でも遺産分割協議は相続人全員が参加しなくてはならない…こんな堂々巡りにはまってしまうと、どうしたらよいのか分からなくなってしまいますね。
では、相続手続きを進める為にはどうしたらよいのでしょうか?

この場合、「成年後見人を選任する」ことで解決できます。

成年後見人とは、認知症などが原因で自分自身で様々な判断が出来なくなってしまった方のために、家庭裁判所が選任する代理人の事です。成年後見人には家族や親族がなる事もありますが、弁護士や司法書士、行政書士といった専門家がなることも多いです。成年後見人制度と任意後見制度は似て非なる制度ですので、ご注意ください。

成年後見人は、相続人の代わりに遺産分割協議に参加することが出来ます。成年後見人が選任されると、他の相続人と成年後見人で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成すれば、諸々の相続手続きを進めることが出来ます。

成年後見人を選任するには、家庭裁判所に「後見開始の申立て」をする必要があります。申立てには、申立書や手数料の他、医師の診断書等が必要となります。申立て後、いくつかのステップを踏んで後見開始の審判が出され、後見人が選任されることとなります。

申立てから後見人選任までの期間は数か月を要します。長いと半年程度かかることもあるようです。相続人の中に認知症の方がいると分かったら、早めに成年後見人の選任が必要かどうかを判断し、申立てをした方が良いでしょう。


認知症の相続人がいる場合は早めの対応を!

相続人の中に認知症の方がいた場合は、まず認知症の程度を確認しましょう。認知症も症状が軽いものから重いものまであります。症状が軽ければ、相続人本人が遺産分割協議に参加することが出来ます。判断が難しい場合や、医師や専門家に相談しましょう。

成年後見人の選任が必要な場合は、なるべく早く対応しましょう。相続手続きの中には、期限が決められているものも多く、例えば相続放棄は3か月以内、相続税の申告は10か月以内となっています。こういった手続きをすべきかどうかを期限内に正しく判断する為にも、遺産分割協議を早めに終わらせた方が良いです。

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北野早紀行政書士事務所
行政書士 北野早紀
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