高度人材外国人のためのビザ~高度専門職ビザについて解説!

高度人材外国人のためのビザ~高度専門職ビザについて解説!

2014年の法改正により、在留資格「高度専門職」が創設されました。高度専門職ビザには優遇措置があり、取得すれば様々なメリットがあります。
この記事では、高度専門職ビザの概要や取得するにはどうしたらよいかということについて解説していきます。


在留資格「高度専門職」とは?

この在留資格は、比較的新しく出来た在留資格であり、高い学歴や優秀な職務経験を持つ外国人が取得することができます。
高度専門職ビザには、1号と2号があり、さらに高度専門職1号は「イ」「ロ」「ハ」の3区分に分かれます。
高度専門職2号は、高度専門職1号で一定期間在留した外国人を対象とする在留資格です。
高度専門職2号を取得すると、1号の時よりもさらに幅広い活動が出来るようになりますし、在留期間も無期限となります。(高度専門職1号の在留期間は一律5年間)


どんな活動が当てはまるのか?

高度専門職ビザ1号イ、ロ、ハで認められる活動はそれぞれ異なります。
ごく簡単にまとめると以下の通りになります。

  • 高度専門職1号イ…研究者や大学教授などが行う研究・教授活動
    →主に「教授」「研究」「教育」の在留資格に相当する活動と重なる
  • 高度専門職1号ロ…自然科学または人文科学分野の専門的な知識・技術が必要な活動
    →主に「技人国」「企業内転勤」「経営・管理」「法律・会計」「医療」の在留資格に相当する活動と重なる。
  • 高度専門職1号ハ…事業の経営・管理に従事する活動
    →主に「経営・管理」「法律・会計」の在留資格に相当する活動と重なる。

ここで注意しなくてはならないのは、高度専門職1号ロでは「技人国」の国際業務カテゴリーにあてはまる活動は認められないということです。「技人国」の技術カテゴリー、人文知識カテゴリーの活動であれば認められます。

高度専門職2号は、高度専門職ビザ1号イロハで行っていた活動に併せて、「教授」「芸術」「宗教」「報道」「法律・会計業務」「医療」「技術・人文知識・国際業務」「介護」「興行」「技能」「特定技能2号」に対応する活動も行うことが出来ます。
つまり、高度専門職2号ではほとんど全ての就労活動が認められているということになります。


高度人材ポイント制度とは?

高度専門職ビザを取得できるかどうかの判断は、高度人材ポイント計算表によって行います。
これは法務省が定めた様々な基準が一覧表になったものであり、要件にあてはまる項目があればポイントを取得できます。
最終的に、該当する項目のポイントを全て加算し、合計が70点以上である必要があります。これを、高度専門職ポイント制度といいます。

ポイント計算でチェックされる項目は、学歴、職歴、年収、年齢、研究実績などです。今までに取得した資格や、表彰を受けた実績なども加算になる可能性があります。

また、高度専門職1号ロとハに関しては最低年収基準が定められているので、ポイント計算の結果70点以上を獲得したとしても、年収が300万円以下の場合は要件を満たしません。


高度専門職はポイントさえクリアすればOK?

高度専門職はポイントを満たすことに目がいきがちですが、ポイントを満たせばどんな活動でも認められるという訳ではありません。

法律では、高度専門職1号の要件が次のように定められています。

申請人が出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(平成26年法務省令第37号)第1条第1項に掲げる基準に適合することのほか、次の各号のいずれにも該当すること

一 次のいずれかに該当すること。
イ 本邦において行おうとする活動が法別表第1の1の表の教授の項から報道の項までの下欄に掲げる活動のいずれかに該当する事。
ロ 本邦において行おうとする活動が法別表第1の2の表の経営・管理の項から技能の項までの下欄に掲げる活動のいずれかに該当し、かつ、この表の当該活動の項の下欄に掲げる基準に適合すること。

二 本邦において行おうとする活動が我が国の産業及び国民生活に与える影響等の観点から相当でないと認める場合でないこと。

上記の一について説明すると、高度専門職1号を取得しようとする場合は、
イ 在留資格「教授」「芸術」「宗教」「報道」で認められている活動を行う
ロ 「経営・管理」「法律・会計」「医療」「研究」「教育」「技人国」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」で認められている活動を行い、かつ、各在留資格の取得要件を満たす
以上のイかロのいずれかに該当しなくてはならないということです。
※ただし、技人国の国際業務カテゴリーに該当する活動は該当しません!

つまり、高度専門職1号を取得する為には、『ポイント計算表で70点以上獲得』すると共に、『他の在留資格の要件を満たす』必要があるのです。 


高度専門職1号を取得するメリットは?

高度専門職ビザを取得すると、様々な優遇措置を受けることができます。
ここでは、どのような優遇措置があるのか紹介します。

メリット①

複合的な在留活動ができる!

 

通常、在留資格を取得して在留する外国人は、自分がもっている在留資格で認められている活動しか出来ません。
例えば、技人国で就労している外国人は会社の経営をすることは出来ませんし、管理・経営で在留している外国人オーナーは自分が料理人としてレストランで働くことは出来ません。
しかし、高度専門職1号で在留する人は複数の在留資格にまたがる活動が出来るようになります。

メリット②

在留期間「5年」が必ずもらえる!

 

他の在留資格だと、申請内容によって取得できる在留期間が1年であったり、3年であったりと色々ですが、高度専門職1号では必ず5年間の在留期間が取得できます。

メリット③

永住許可要件が緩和される!

 

永住許可を受けるためには、原則的に10年以上日本に在留していなければなりません。
しかし、高度専門職1号で在留している外国人はこの要件が大幅に緩和されます。

メリット④

配偶者が働きやすくなる!

 

通常、就労ビザを取得しようとすると、学歴や職務経験が要件を満たしていないとなりません。しかし、高度専門職の在留資格を持つ外国人の配偶者は、学歴や職歴に関する要件がなくなります。

メリット⑤

本国から親を呼び寄せられる場合がある!

 

通常の就労ビザでは、外国に住む親を日本へ呼び寄せたいと思っても認められません。
しかし、高度専門職の場合は一定の要件を満たせば親の呼び寄せが可能な場合があります。

認められるケースは次の①か②です。
①高度専門職ビザで在留する人又はその配偶者の7歳未満の子(連れ子・養子含む)を養育する場合
②高度専門職ビザで在留する人本人又はその配偶者が妊娠中で、介助、家事などを行う場合

要件は以下の通りです。
(1)高度専門職ビザで在留する人の世帯年収が800万円以上
(2)高度専門職ビザで在留する人と親が同居する
(3)高度専門職ビザで在留する人又はその配偶者のどちらかの親に限る

メリット⑥

本国から家事使用人を呼び寄せられる場合がある!

 

家事使用人を雇用する場合、本国から呼び寄せて在留資格を取得させることが出来るのは一部の在留資格に限られます。
高度専門職ビザでは、家事使用人を呼び寄せる場合は「入国帯同型」「家庭事情型」「高度金融人材優遇型」という3つのパターンがあり、それぞれ一定の要件を満たす必要があります。

メリット⑦

入国・在留手続きが優先処理される!

 

高度専門職ビザに係る入国・在留審査は優先的に行われます。
その為、他の在留資格に比べて申請してから結果が出るまでが非常に早いです。


高度専門職2号を取得するメリットは?

高度専門職2号を取得することによるメリットを記載します。

  • ほぼ全ての就労活動を行うことが出来る
  • 在留期間が無期限となる
  • 高度専門職1号のメリット③~⑥の優遇措置が受けられる

要件を満たす場合は高度専門職も検討しよう!

ここまで高度専門職ビザのことについて解説してきました。
高度専門職ビザを取得するには、厳しい基準をクリアする必要があります。
まず手始めに、ポイント計算をして、自分が70点以上になるかどうかを確認してみましょう。
ポイントを計算する時に、基準が非常に細かいので、自分がポイント対象となるのかどうか判断に迷うこともあるかもしれません。
そういった時は、是非専門家へご相談ください。

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北野早紀行政書士事務所
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