一番簡単に書ける遺言!~自筆証書遺言について知ろう

一番簡単に書ける遺言!~自筆証書遺言について知ろう

遺言には種類がある

遺言にはいくつか種類がありますが、実際に書くとなったらほとんどの人が「自筆証書遺言」「公正証書遺言」のどちらかを選択します。
この記事では、そのうちの「自筆証書遺言」の特徴について説明します。

 遺言方式については以下の記事でも紹介しています。
      ↓   ↓   ↓
遺言にも種類がある!~遺言方式

 

自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、遺言者が自分ひとりで書くことが出来る遺言です。
紙と筆記用具さえあれば、好きな時に好きな場所で書くことが可能です。手数料等の費用がかかることもないので、最も簡単で手軽に書くことが出来る遺言という事が出来ます。
一方で、自筆証書遺言の大半は自宅で保管されるため、亡くなった後で発見されない、紛失してしまう、見つけられた後で偽造されてしまったり、破棄されてしまう可能性があるといったリスクがあります。
また、遺言内容を実現させるには、相続開始後に家庭裁判所に検認の申し立てをしなくてはなりません。

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言は、遺言者が自分で「全文」「日付」「氏名」を自書し、「押印」することが必要です。
2018年7月の法改正で、相続財産の全部または一部の目録を添付する場合には、その目録については自書する必要はなくなりました。ただし、その目録の毎頁に署名し、印を押さなくてはなりません。

病気などの理由で手がふるえてしまい、自分一人では書くことが出来ない人の場合は、他人の添え手による補助を受けて作成しても自書と認められた事例もあります。しかし、添え手をした他人の意思が運筆に介入した形跡のないことが筆跡の上で判定出来なくてはならず、他人の誘導がみられるとして自書ではないとされた判例もあります。

日付は、年月日が特定できるものでなくてはならないので、年月のみであったり、「令和〇年〇月吉日」といった書き方は無効となります。しかし、年月日さえ特定できればいいので、「第60回目の誕生日」「2022年こどもの日」などの記載でもいいとされています。この日付は、日付を含めて遺言全部を完成した日を書きます。
日付を記載する位置については規定がないので、遺言書を入れている封筒の上に記載されていても大丈夫です。

氏名については、遺言者の同一性が確認できるかどうかが重要とされています。そのため、例え書かれた氏名が戸籍上の氏名ではなく通称や雅号、ペンネーム、芸名等であったとしても、遺言の内容その他から遺言者が特定できる場合には、氏名の自書として有効となる可能性があります。

押印については、実印である必要はなく、認印や指印でも良いとされています。

一度書いた内容に書き加える場合や、書き直す場合は、以下のルールを守らなくてはなりません。
 ①遺言者が変更した場所を指示する
 ②変更した旨を付記して署名する
 ③その変更場所にも印を押す

遺言書を見つけても勝手に開封してはダメ!~遺言書の検認とは

検認とは、相続人に対して遺言の存在およびその内容を知らせると共に、遺言書の現状を確認し、遺言書の偽造や変造を防止するための手続きです。
遺言者が亡くなった後自筆証書遺言を発見したら、その遺言書を家庭裁判所に提出してその検認を請求しなければなりません。
また、封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人等の立会いの上、開封しなければならず、開封手続きに違反した場合には5万円以下の過料に処されることになっています。
検認は証拠保全の手続きであって、遺言書の有効・無効を判断する手続きではないため、検認を受けたからと言って遺言書が有効となるとは限りません。
ちなみに、公正証書による遺言と後述する遺言書保管所に保管された遺言書はこの検認は不要です。

検認の流れは以下の通りです。

 ①遺言書を保管していた人または見つけた相続人が申立人となり、遺言者の最後のの住所地の家庭裁判所に検認の申し立てを行う。
 ②家庭裁判所から申立人および相続人に対して検認の期日が通知される。
 ③家庭裁判所から申立人および相続人立会いの下で、家庭裁判所で遺言書が開封される。
なお、申立人は必ず出席し、相続人は各自の判断で出欠席を決める。
 ④家庭裁判所は遺言の形状、遺言書の加除訂正の状態、遺言書に書かれた日付、署名、印などについて確認し、この結果を検認調書にまとめる。
 ⑤申立人または相続人等が家庭裁判所に「検認済証明書」の発行を申請する。これをもとに、遺言執行をする。

自筆証書遺言を保管してもらえる制度ができた!

2018年7月の法改正に合わせて、法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる仕組みが出来ました。
これは、自筆証書遺言を書いた後、遺言者が法務局に保管の申請をすることで遺言書が画像データとして保管され、相続が発生した後で相続人等がその内容を証明した書面(遺言書情報証明書)の交付または閲覧を請求できるというものです。
この制度を利用すると、遺言書の偽造変造の恐れがなくなるので、家庭裁判所による遺言書の検認が不要となります。
現在、例え遺言者が亡くなったとしても、保管している遺言書の存在を相続人に通知される仕組みはありません。そのため、遺言書を保管していたとしても、相続人がその存在を知らないとそのままになってしまう可能性があるので注意が必要です。